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チェスターは薄暗い部屋の中で目を覚ました。
そんなチェスターに自分がイシュメルになぶり殺された記憶が蘇る。
あれはチェスターが受けたこの世で最悪の出来事だ。
チェスターはあの苦痛を思い出して、思わず顔を歪めていたが、そんなチェスターにある大きな疑問が浮かんできた。
イシュメルに殺されたはずの自分がどうしてこの部屋の中で目を覚ましたのだろう。
自分は間違いなくイシュメルに殺されたはずなのに……。
チェスターがそんなことを思っているとき、イシュメルの痩せこけた血色の悪い顔がチェスターの顔をのぞき込んだ。
チェスターはそのことに心臓が止まってしまうほどドキリとし、顔をこわばらせ、目を見開きながら、イシュメルの顔をじっと見ていた。
「目を覚ましたか、青い瞳のミルド人。
ここが服従の洗礼が行われる聖なる部屋じゃ。
今から貴様はジュナールの犬になる。
このワシから服従の洗礼を受けてな」
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