81人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ
剣を握り、負けると知りながら戦うことを決めたチェスターには、イシュメルが本物の死神に見えていた。
イシュメルが手にしている死神の鎌は、またチェスターの体を斬り刻み、めった刺しにしていくだろう。
そしてその拷問のような地獄はチェスターがジュナールの犬になることを認めるまで終わらない。
服従の洗礼とは、ジュナール族に逆らおうとするミルド人がその反骨心が消えるまで何度でも残酷に殺してやるという徹底的なものだった。
そしてその服従の洗礼から逃れる術はどこにもない。
チェスターに残されている二択は、永遠の地獄の苦しみを受け入れるか、ジュナールの犬になるかのどちらかだ。
チェスターがそんな自分の立場を理解して、絶望の中で恐怖しているとき、死神の鎌を手にしたイシュメルがゆっくりとチェスターに近づいてきた。
チェスターはそんなイシュメルに剣を向けたが、負けを認めているチェスターの剣に魂はこもってなかった。
最初のコメントを投稿しよう!