82人が本棚に入れています
本棚に追加
「がっ、がはっ……」
死神の鎌で脇腹を刺されたチェスターは血を吐き出し、ゆっくりとその場に倒れ込んだ。
そして激痛と苦しさがチェスターを襲い、チェスターは苦しみの中で自分の弱さを呪っていた。
「簡単に死ねると思うな、青い瞳のミルド人。
貴様は地獄の苦しみを受け、ジュナール族の恐ろしさを知るのじゃ。
そしてもう二度とジュナール族に逆らおうと思わんようになるじゃろう。
それが服従の洗礼じゃ。
貴様はジュナールの犬となれ」
イシュメルの死神の鎌がチェスターの急所を外して、次々とチェスターの体を突き刺していった。
チェスターの肩、足、腕からは大量の血が流れ出し、チェスターは激痛の中で自分の無力さを呪っていた。
(弱さは悪だ。
オレの正義は自分の弱さにかき消される。
オレの信念は理不尽な暴力の前に打ち砕かれる。
オレはジュナール族が憎い。
でもオレはジュナール族に逆らうことができない。
オレは弱いから……。
どうしようもなく弱いから……)
最初のコメントを投稿しよう!