隠された願いのために

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「おい、お前。 こんな遅い時間に何してやがる。 カサドラの森は魔獣が住む森。 それくらいガキでもわかるはずだ」 リンジー・ライアンは氷のリンジーの異名の通り、鋭く冷たい目でチェスターを見ていた。 さっきタイガーバードの群れを倒した氷の刃は、リンジー・ライアンの異能の力だろう。 リンジーは痩せ型で人相は悪く、黒く長い髪を後ろで一つに束ねていた。 チェスターはこのリンジーのために、たくさんのミルド人が苦しめられていたことを知っていた。 チェスターはそんなリンジーに身構え、リンジーをにらんでいた。 「どうやらオレは歓迎されていないようだな。 氷のリンジーはミルド族の敵だと言いたいような目をしてやがる」 リンジーはそう言って言葉を区切ると、腰にぶら下げた剣を抜いて、チェスターに刃先を向けた。 「ミルド族を統括しているオレは、ミルド人を罰する権限が持っている。 お前がオレに敵対し、何も話したくないというなら、オレはお前の首を斬る」 この横暴で粗野な人間が、ミルド族の同胞を苦しめているリンジーなんだと思うと、チェスターはリンジーに何も言う気が起きなかった。 チェスターはリンジーに言葉を返す代わりに、右手で握りしめた剣をリンジーに向けていた。
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