隠された願いのために

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「お前の言う通り、弱いミルド族はジュナール族に支配されている。 強さは正義で、弱さは悪だ。 弱いお前は、ここでオレに殺されても文句は言えない」 リンジーはそう言うと、右手に持った剣の刃先をチェスターの首に押し当てた。 「おい、お前。 名前はなんて言うんだ?」 チェスターはリンジーにそう聞かれ、泣きはらした目をリンジーに向けた。 「オレの名前はチェスター・ローだ」 「チェスター・ローか。 いい名前だ。 夢と希望を失っているミルド族の中で、まだ未来をあきらめていないのがおもしろい」 リンジーの冷たい視線が、ずっとチェスターを見下ろしていた。 チェスターはリンジーに殺されることを覚悟しながら、リンジーの痩せた顔を見つめていた。
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