隠された願いのために

5/5
81人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ
「強くなりたいと言ったな、チェスター・ロー」 リンジーはチェスターに冷たい目を向けながら、チェスターにそう言った。 「お前のようなクソガキでも、オレならば強くできる。 お前にその気があるなら一週間後、剣を持ってここに来い。 そしたら剣を教えてやる」 リンジーはそう言うと、チェスターの首に押し当てていた剣を引っ込め、チェスターに背を向けた。 そしてそれ以上はなにも言わずに、チェスターから離れていった。 チェスターは剣を教えてやると言ったリンジーの気持ちがわからずに、リンジーの背中に向かって叫んでいた。 「リンジー・ライアン。 どうしてオレを殺さない? オレはジュナール族への反逆心を持っている。 それを知っていて、どうして?」 リンジーはチェスターの言葉になにも答えず、カサドラの森を去っていった。 チェスターは今日まで憎んでいたリンジーの気持ちを心の中で想像していた。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!