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チェスターの高速の剣がリンジーに襲いかかった。
チェスターの高速の剣は普通の人には目で追うことができないくらいの早業だ。
しかし、リンジーはチェスターの高速の剣をすべて見切って、自らの細身の剣で受け止めていた。
チェスターは自分が最も得意とする攻撃の型が少しもリンジーに通用しないことに驚き、焦っていた。
自分とリンジーの実力はこんなにも違うのだろうか?
自分はずっと強くなることだけを考えて生きてきたのに……。
チェスターは自分の剣が通用しない焦りの中で、必死に剣を振っていたが、次の攻撃のモーションに移る一瞬の隙をつかれ、リンジーの強烈な蹴りを腹部にくらった。
リンジーの蹴りをくらったチェスターの体は勢いよく吹き飛び、カサドラの森の大地を転がっていった。
チェスターは強烈な蹴りをくらった腹部を左手で押さえながら、圧倒的な強さを誇るリンジーをにらんでいた。
「お前のゴミのような実力では、ジュナール族の誰も倒せやしない。
ましてやフレイザーやイシュメルを倒すなんて夢物語だ。
お前は将来、自分の弱さに絶望して死ぬだろう。
オレにはお前の未来が透けて見える」
「違う……」
チェスターはそうつぶやき、燃えたぎる闘志の中で立ち上がった。
「未来は少しも確定していない。
オレは未来を変えられる。
オレは今よりも強くなって……」
「オレ様に勝てないお前じゃ、このミーリアの街を支配するアイザックにすら勝てやしない。
今、ジュナール族に敗北を認めるなら、お前はきっと長生きできる。
未来をあきらめている他のミルド人のように」
「黙れ!
オレは負けを認めない!」
チェスターはそう叫んで剣を構え、再び勢いよくリンジーに斬りかかった。
リンジーはそんなチェスターを見ると冷たい笑みを浮かべ、チェスターが斬りかかってくるのを剣を構えて待っていた。
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