呪われた体に秘めた思い

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「オレはミルド人を厳しく統括しているが、オレはミルド人を目の敵にしているわけじゃない。 オレはミルド人に嫌われているが、オレだってミルド人だ。 オレの体にはミルドの赤い血が流れている」 「リンジー、それじゃどうしてそのことを口に出さないの? ミーリアの街のミルド人はみんなリンジーを誤解している。 リンジーのせいで、つらい生活をしなくちゃいけないって思っている」 「オレはジュナール族に力で屈服させられたんだ。 オレはあるとき、絶対にジュナール族には勝てないと悟ったんだ。 そしたらオレの心の中でなにかが崩れ落ちていきやがった。 オレだって、心の中じゃジュナール族を憎んでいる。 でもオレは牙の折れた負け犬だった。 オレにはもう戦う気力なんて残ってなかった」 リンジーはそう言ったあとに鋭い目つきで、チェスターの目をのぞき込んだ。 そしてチェスターの青い瞳に訴えかけるように、自分の気持ちを語り出した。
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