リンジーの反逆

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リンジーは歩き慣れた統括棟の長い廊下を歩きながら、これからの自分を考えていた。 リンジーは五年前、ジュナールの死神イシュメルに服従の洗礼を受け、空から氷の刃を降らす異能の力を身につけた。 しかしその代わりに、リンジーはその身に呪いを宿し、短命で死んでいくという宿命を背負ってしまった。 そして二十歳になったばかりのリンジーはもうすでに自分の体の異変に気づき、自分の体が朽ち果てようとしていることを理解していた。 ミルド人のリンジーが、ミルド人を統括し厳しく罰することで、リンジーはミーリアの街で一番嫌われているミルド人になってしまった。 運命は皮肉だ。 ジュナール族を憎んでいる自分がジュナール族の犬に成り下がり、イシュメルにかけられた呪いのせいで、命はもう尽きようとしている。 リンジーはそんなゴミみたいな自分の人生を振り返って、固く拳を握りしめた。 (どうせこのオレの体が朽ちて死ぬなら……) リンジーはそう思って、統括棟の長い廊下の奥にあるアイザックの部屋のドアをにらみつけた。 (アイザックと刺し違えて死んでやる!)
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