リンジーの反逆

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嫌われ者である自分が死んでも、悲しむ人は誰もいないだろう。 そして自分が死んでときが過ぎれば、やがて自分を思い出す人すら誰もいなくなる。 リンジーは自分の死が近づいていることを悟ってから、自分はなんのために生まれてきたのかを自分に問いただした。 ジュナール族に富をもたらすため? 同胞に嫌われるため? 同胞から夢と希望を奪うため? 自分の心の奥に秘めた思いと、今まで自分がしてきたことは本当に真逆で、リンジーはそんな自分を嫌っていた。 でもそんな最悪の自分と今別れを告げる。 リンジーはそんな覚悟の元にアイザックの部屋のドアを叩き、ドア越しにアイザックに話しかけた。 「アイザック様、リンジー・ライアンが参りました」 リンジーはそう言って、部屋の中にいるアイザックの言葉を待った。 そしてそのわずかな待ち時間がいつもよりも長く感じられていた。
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