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「ほざいたな、リンジー!」
アイザックはそう言うと、怒りに満ちた目でリンジーをにらみつけた。
「このオレが貴様ごときの提案を受けてやる義理はないが、貴様のその思い上がりをミルドのグズ共の前でわからせてやるのもおもしろい。
公開処刑だリンジー。
明日の午後3時、統括棟の庭園で貴様とサシで戦ってやろう。
貴様は自分の無力さを思い知り、地獄へと落ちるがいい」
「うぬぼれるなよ、アイザック!」
今までアイザックに付き従っていたリンジーの口調が変わった。
それはもうリンジーの退路が消滅した合図だ。
これでもうリンジーに迷いが入り込む余地すらなくなった。
アイザックとの戦いに負けたら、リンジーには100パーセントの死が待っている。
リンジーは細身の体に闘志をみなぎらせ、残り少ない自分の命に最後の炎をたぎらせていた。
明日の午後3時、五年間付き従ってきたアイザックとの立場を逆転させる。
リンジーはそのことだけを考えて、アイザックの部屋を去っていった。
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