ジュナールの死神イシュメル

15/16
81人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ
チェスターはイシュメルのその言葉に心臓が止まるほどの衝撃を受けた。 ずっとジュナール族を憎み続け、ジュナール族を倒すことを夢見ていた自分がジュナールの犬になるなどあってはならないことだからだ。 チェスターは伏せていた瞳をイシュメルの痩せこけた顔に向け、感情のままにイシュメルに叫んでいた。 「オレは服従の洗礼を受けない。 ジュナールの犬になるくらいなら、今ここで舌をかみちぎって死んでやる!」 ジュナール族の兵士たちがチェスターを取り囲み、チェスターを聖なる部屋へと連れていこうとしていた。 チェスターはそんなジュナール族の兵士の手を振り払い、必死にイシュメルに向かって叫んでいた。 「オレと戦え、イシュメル! オレはずっとジュナール族を憎んで生きてきた。 オレはジュナール族に屈しない!」 イシュメルに暴言を吐いたチェスターは、すぐに殺されると誰もが思った。 なぜなら、イシュメルはジュナール族のナンバー2で、同胞のジュナール人ですらイシュメルを恐れていたから。 イシュメルが手にしている死神の鎌が、バッサリとチェスターの首を斬り落とす。 そんな残酷なシーンをここにいるたくさんの人たちが思い描いていたとき、イシュメルは不気味に笑い、皆の想像を裏切ることを口にした。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!