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チェスターはイシュメルのその言葉に心臓が止まるほどの衝撃を受けた。
ずっとジュナール族を憎み続け、ジュナール族を倒すことを夢見ていた自分がジュナールの犬になるなどあってはならないことだからだ。
チェスターは伏せていた瞳をイシュメルの痩せこけた顔に向け、感情のままにイシュメルに叫んでいた。
「オレは服従の洗礼を受けない。
ジュナールの犬になるくらいなら、今ここで舌をかみちぎって死んでやる!」
ジュナール族の兵士たちがチェスターを取り囲み、チェスターを聖なる部屋へと連れていこうとしていた。
チェスターはそんなジュナール族の兵士の手を振り払い、必死にイシュメルに向かって叫んでいた。
「オレと戦え、イシュメル!
オレはずっとジュナール族を憎んで生きてきた。
オレはジュナール族に屈しない!」
イシュメルに暴言を吐いたチェスターは、すぐに殺されると誰もが思った。
なぜなら、イシュメルはジュナール族のナンバー2で、同胞のジュナール人ですらイシュメルを恐れていたから。
イシュメルが手にしている死神の鎌が、バッサリとチェスターの首を斬り落とす。
そんな残酷なシーンをここにいるたくさんの人たちが思い描いていたとき、イシュメルは不気味に笑い、皆の想像を裏切ることを口にした。
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