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2 サヤと父~不協和音
翌日、サヤは朝からそわそわと落ち着かない気持ちで過ごした。
授業が終わるのが待ち遠しかった。
いつものように残らずに下校すれば、ちょうど4時頃にあの公園に行ける。
昨日のソウの話が本当ならば、その時間に行けば、ソウに会える……はず。
授業が終わると、サヤはそそくさとバッグに荷物を詰める。
そこでふと動きを止めた。
少しの間、考える様子だったサヤは、まとめた荷物を教室に置き去りにして、外へと向かった。
学校から公園までは、普通に歩けば15分ほどで着く。
サヤは、半ば小走りで向かったから、10分ほどで目的地に着いた。
時間を見上げれば、まもなく4時。
待ち望んだ時間だった。
どこでどうやって待とうかと考えながら、昨日のベンチの方に目をやる。
すると、ふっと誰かが現れた。
ちょうどサヤに背を向ける格好ではあるが、昨日過ごした時間が、サヤにソウの後ろ姿も覚えさせている。
「ソウくん。」
サヤはそっとベンチに近づき、後ろから声をかけた。
振り返ったソウが目を見開き、微笑む。
「サヤ。」
また会えた。
サヤはソウに微笑み返した。
「今は、昨日の明日?」
ソウの変な質問に思わず笑い声を上げながら、サヤは頷いた。
「うん。昨日の明日だよ。」
ソウはホッとした表情を見せた。
「ちゃんと時間は進んでいるんだな。
俺、置いていかれてるわけじゃないんだよな。」
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