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時間が経過しているかも計れない。
ただ時を繰り返しているだけかもしれない状況で、たった一人で過ごしていたソウの辛さが漏れてきたように感じ、サヤは胸が痛んだ。
ソウがどこの誰なのか、本気で探し出してあげたいと、サヤは願った。
「ねぇ、ソウくん。」
サヤは努めて明るい声の調子でソウに話しかける。
「ん?」
「今日は私の学校に行ってみない?」
ソウは首を傾げてサヤをじっと見つめた。
「ソウくんって、見た目、高校生じゃない?
街をぶらついてもピンと来なかったみたいだけど、何かの機会でうちの学校に来たことがあるかもしれないなぁと思って。
この街に毎日現れる理由は、やっぱり何かソウくんとこの街をつなぐものがあるんじゃないかなって思うんだよね。」
サヤが話す様子をソウは黙って見ていたが、サヤの話が一区切りついたところでニコッと笑った。
「そうだな。もしかしたらそうかもしれないな。
行ってみたいよ、サヤの学校。」
ソウに言われて、サヤは嬉しくなる。
どうすれば、ソウの正体を見つけられるのかはわからない。
それでも一生懸命考えて思いついたことを他の人に認めてもらうのは嬉しかった。
「じゃあ、早速行こう?
昨日みたいに壁を抜けられれば、ここから歩いてすぐだよ。」
サヤはソウの方へ手を伸ばした。
ソウもサヤに引かれるように手を伸ばす。
手をつなげそうでつなげないことを二人とも内心もどかしく感じながら、二人で公園を後にした。
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