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1 幽霊の依頼
次の日も、放課後はルーティンのように教室に居残って勉強をしていた。
でも、サヤの気持ちは何か落ち着かなかった。
宿題と予習をかろうじて終わらせると、サヤは窓の外をぼんやりと眺めた。
サヤの窓側の席からは、校庭がよく見える。
様々な種類の運動部が、部活動に勤しんでいる。
その一生懸命さが、サヤの心をささくれさせた。
「はぁ。」
サヤは小さくため息をつくと、勉強道具を片付けた。
今日はもうおしまいにしよう。
サヤは学校を後にした。
*
来てしまったのは、やはり昨日の出来事が引っ掛かったからだ。
夢か幻かとしか思えない出来事だったけれど、記憶はリアルだった。
公園に行けば、必ず会えるってわけでもないだろうに……。
サヤは自分にそうツッコミを入れつつも、また、公園の定位置のベンチに腰を下ろした。
キョロキョロと辺りを見回すが、特に異変はない。
やっぱり幻だったのかなー。こういうの何て言うんだっけ? 白昼夢?
サヤはそんなことをぼんやりと考えながら、川面を眺めた。
「……よぉ。」
短い言葉が投げられる。
はっとして隣を見ると、昨日の男子高校生が座っていた。
サヤは、自分で期待する気持ちがあったにも関わらず、動揺し、固まった。
「おばけなの? 幽霊なの?」
相手の問いかけに我に返る。
「それはそっちのことでしょ?
私は普通の女子高生です。
おばけでも幽霊でありません。」
サヤはそう言うと、相手をじっと睨みつけた。
「……俺が……か?」
男子高校生はふーっとため息をついた。
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