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しかしそうであれば、一体第六天魔王とは誰の事なのか疑問が残る。
「あの・・・・じゃぁその第六天魔王ってのは・・・・・」
「第六天魔王は、第六天魔王だろ?」
「いえ・・・僕が言っているのはそういうことではなく・・・・・」
そこまで言って、周は言葉につかえてしまう。自分の言いたいことはわかっている。でも、それをどう伝えたらいいかがわからない。
「えっと・・・・ですね・・・・、そういうあだ名の方がいるんでしょうか?」
「は?」
空はきょとんとした。
「別に、あだ名もなにも、本人だろ?」
「ほん・・・・にん?」
「あ・・・いや、人って言うのはおかしいか・・・・人じゃないしなぁ・・・・うーん・・・・」
なんともかみ合わない会話が続く。
後ろで聞いていた淨が盛大な溜息と共に言った。
「あのなぁ、そもそも神も仏も存在しねぇなんて固定概念持ってから、会話が成立しねぇんだろうが」
周の中で一瞬、思考が止まった。
淨の言葉をそのまま捉えるならば、この世に神や仏がいるということになる。
___いやいやいや・・・・・
「流石に、そこは誤魔化されませんよ?神や仏なんて、信仰の対象ではあるものの実際には・・・・」
「いるよ?」
空があっけらかんと言った。
「え?」
「だから、神も仏もいるよ。付け加えていうなら、第六天魔王もね。で、あれがその手下たち」
空の視線を追うと、そこには相変わらず件の男にまとわりつく餓鬼たちがいた。
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