ダンジョンが誕生した日

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

ダンジョンが誕生した日

20××年1月1日、地球に突如ダンジョンが誕生した。 ダンジョンは様々な国で同時に誕生し、世界は混乱を極めた・・・かに思えたが、其々のダンジョンからは何も出て来る事は無かった。 政府は特殊部隊を編成してダンジョンの探索を行い、中がRPGでお馴染みのダンジョンである事が判明した。何故なら中にはモンスターが出現したからだ。 更には下へと続く階段と、昔の海賊等が使っていたかの様な宝箱が発見されたからだ。宝箱の中身は万能薬、所謂ポーションやマジックバック等が出て来て医学と科学に激震を起こした。 そしてモンスターを倒した特殊部隊の一部に、魔法が使える者が現れた事で世界はダンジョンに魅了される。 ダンジョンが誕生してから数ヶ月後、世界は更に驚愕する事となる。異種族の亜人が存在していたのだ。発見されたのは10階層の先、地球人類とは文明レベルが違ってはいたものの、独自の言語や衣食住、生活環境がダンジョンの中と言うだけで、コミュニティが完成されていた。 異文化交流には難航を極めた。言語の違いと文明の違いが想像以上にかけ離れていた為だ。しかし、ある日突然異種族の話している事が解る者が現れた。 『お前は翻訳スキルを持っているのか?』 会話が成立した事で判明した以下の内容。 1つ目、ダンジョンの中ではスキルを獲得、使用する事が出来る 2つ目、ダンジョンの中で産まれた者は外には出られない 3つ目、20階層を越える事が出来ればダンジョンの外に出られる指輪が手に入る 4つ目、ダンジョンでモンスターを倒すとレベルが上がる そして最も重大な5つ目、交配が可能であると言う事 特殊部隊に所属していたある若者が異種族の亜人と恋に落ち、20階層を超えて指輪を手に入れて彼女を外に連れ出し、子供が産まれたとニュースで全世界に配信されたのはそれから数年後の事だった。 「指輪の値段が高すぎて笑えねぇ」 ネットで偽物かも解らないダンジョンの外に出られる指輪が競売に出されていたのを見た俺は、値段の高さに驚き呟いた。 結婚指輪は給料の3ヶ月分とか昔は言われていたみたいだけれど、異種族の亜人と結婚するには宝くじで数億円を当てないといけないらしい。 「コレは直接本人が20階層まで行って手に入れた方が早いって事なんだろうな・・・」 現在無職で親の脛をかじっている俺は、ニートを続けるか冒険者になるかの二択を迫られていた。冒険者とはダンジョンに行き、宝箱から価値のある物を手に入れて一攫千金を目指すトレジャーハンターみたいなものだ。 しかし、冒険者には当然ながらリスクが有る。モンスターに殺されるかもしれないし、迷路の様なダンジョンで遭難するかもしれない。低階層のモンスターは弱い代わりに価値は無く、宝箱も殆ど出ない。サラリーマン並みの生活がしたいのなら10階層を超えてからと言われる位だ。 「でも、こんな可愛い異種族の亜人の娘と結婚出来るかもしれないんだよなぁ」 ネットの画像で、俺の好みにどストライクの異種族の亜人が幾つも投稿されていた。その異種族の亜人とはーー獣耳の獣人だった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!