俺の旅立ち

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俺の旅立ち

俺は両親にコレからは冒険者になる事を伝えると、泣いて喜ばれた。ダンジョンのある場所迄の交通費から、食費、装備やら何やらにかかる経費全てのお金を出してくれた。札束を持った事のない俺は少しビビる。 俺が一生ニートで生活をした場合のお金に比べたら安いものだとの言は俺の心に少なくないダメージを与えた。ダンジョンに入る前から精神攻撃を受けるとは。 「ダンジョンでは携帯の電波は届かないみたいだな」 旅立つ前の事前準備としてネット検索した結果、そんな情報が書かれていた。両親にしか連絡相手が居ない俺には大した事ではないが、スマホ依存な奴等には結構重大な事かもしれない。 「ニートにはスマホなんて必要なかったからな。ガラケーで事足りていたし、パソコンで日頃の生活を充実させていた俺にはネット検索出来なくなる方が痛いな」 ノートパソコンを持って行きたかったのだが、電波が届かないのであれば邪魔にしかならない。着替え等も現地で調達する事にして、家からは何も持っていかない事にした。 翌日、昼御飯を食べてからダンジョンのある場所へと旅立つ俺。飛行機に乗るのが怖かったので、電車を使って行く事にした。新幹線で数時間か、駅弁を買って車内でも食べよう。 そうそう、ダンジョンに入る為に必要な事は意外と少ない。年齢制限はあるものの、20歳を過ぎている俺はすでにクリア。冒険者登録には多少のお金がかかるがコレも問題無い。最後、犯罪歴に関しても家からほぼ出ないニートには関係のない事である。 新幹線を降りてからはダンジョン行きのバスに数時間乗って入り口前で降りる。其処はショッピングモールさながらに発展した建物が立ち並んでいた。商魂たくましいな。 冒険者登録するには何処に行けば良いんだ? 『冒険者登録がまだお済みでない方は旗を持った係員にお声がけ下さい』 館内放送が流れた事で、側を持つ係員がいる事に気付いた俺は一番近くに居た係員の側に近づいて話しかけた。勿論、相手は男性だ。 「あ、あの。その、冒険者登録したいです」 くそう、両親以外と話すのが久しぶり過ぎて緊張しているな俺。もしも相手が女性だったなら、もっと緊張してしまい話しかける事すら出来なかっただろう。 「それでは私の後に着いて来て下さい」 係員は俺の緊張に気付く事なく笑顔を見せると、先導する様に歩き始めた。はぐれない様に、しかし俺は気持ち数メートル離れた状態で着いて行く。追跡するのは係員の男性だから多分ストーカーに間違われる事は無いと思う。
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