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俺を誰だと思ってる(byダンテ)
俺は秘密結社【猫の爪】の裏ボス、伊達優作。
部下たちは俺のことをみな『ダンテ』と呼ぶ。
今日は我が【猫の爪】が経営する猫カフェ『nail of a cat』にてイベントが開催された。
『もちもち山敏光、夏の思い出ワクワク写真撮影会』というフォトイベントだ。
そろそろ田倉にも立派なエージェントとして活躍してもらわなければと思い、今回のイベントをすべて彼女に仕切らせてみることにした。
予定していた敏光様との撮影会ではなくなってしまったが、レッサーパンダのふー太くんもなかなかの人気ぶりで、イベントは大盛況だったといえる。
とはいえ、手放しで喜んでばかりもいられない。
田倉が嘘をついて勝手に敏光様レプリカを持ち出し、それをなくしてしまったのだ。
レプリカの行方は他の優秀なエージェントに追跡させることにするが、大事な敏光様レプリカの管理を怠り、雑な扱いをした田倉をどうすべきか。
しかもそれだけではない。
そもそも、どうしてレプリカを持ち出してくる必要があったのか。
それはもちろん田倉が敏光様をイベントにブッキングできなかったせいだが、なぜブッキングできなかったのかというと……。
敏光様は急遽他のイベントに借り出されることになってしまったから。
そのイベントというのは『夏の素敵な思い出を作ろう!ふー太くんにモフモフ癒されタイム』というもの。
イベントの主役であるレッサーパンダのふー太くんが突然何者かに拉致されてしまい、困ったイベントの主催者が敏光様に白羽の矢を立てたらしい。
ふー太くん目当てのお客さんは残念がりつつも、まさかの敏光様登場で、大いに盛り上がったイベントになったようだ。
しかし田倉のやつ。
レプリカのことも、ブッキング失敗の件も、俺にはバレていないと本気で思っているのか。
俺を誰だと思ってる?
おめでたいやつだな、まったく。
まあ、イベントを開催できた点とふー太くんに目をつけた閃きだけは認めてやる。
ふー太くんのレプリカも作るように美術スタッフに指示しておこう。
ていうか……。
「そもそも田倉がふー太くんを拉致らなければ、うちのイベントに敏光様を呼ぶことはできたんだ。まあ、今回はふー太くんの人気に免じて極刑だけは回避してやろう。とりあえず仕置きは必要だな。激甘スイーツ・ダンテスペシャルを俺の手で完食させるとしよう」
そうと決まれば早速スイーツを手作りしなければ。
たっぷり味わってもらうからね、木ノ子さん。
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