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――誰か、誰か助けて。
一体、どれほど時間が過ぎたのだろう。
私はへとへとになりながら、歩き続けている。人ごみの中、横断歩道をえんえんと渡り続けている。
周囲の人々の顔は暗く、そこに一切の希望は見えない。絶望ばかりの色のない、無関心な瞳に囲まれながら――私はふらつく足で交差点の中心へと向かうのだ。
逃げられない。
戻れない。
どれほど疲れても、ぎゅうづめの人ごみに押されて、身体は勝手に横断歩道を進み続けるのだ。
――お願い、もう、何回目?いつになったら私……この人ごみから、抜け出せるの?
何がいけなかったのか、それとも何も悪いことなどなかったのか。
理不尽なループの中、私はスクランブルの中心に到達し、再び目を覚ますを繰り返している。
――助けて。お願い、ここから、私を出して……!
『信号ガ、青ニ、ナリマシタ』
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