第3話 透の家は豪邸だった

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第3話 透の家は豪邸だった

美奈子と透は何度目かのデートの時に、 「お互いの家にも遊びに行きたいね」という話になった。 先ずは透のお家訪問という事になったのである。 透「美奈子ちゃん、ここが僕の家だよ。」 美奈子は呆気に取られた…。 高い生け垣に巨大な門扉…まるでお城のような建物…門扉から建物の玄関までが数百メートルはある。 執事「お坊っちゃま、お帰りなさいませ。今日はお友達が一緒でございますね。どうぞ御ゆっくりなさいませ。」 そう言うと執事は気を利かせて納屋のほうへ歩いて行った。 美奈子「ねえ…透君のお家ってお金持ちなんだ? 美奈子なんか付き合って貰ってて良いのかなあ? どう考えても不釣り合いでしょ。」 透「美奈子ちゃん…何言ってるんだよ。 金持ってるのは父さんと母さんだよ。 俺の金じゃねえし…。 大体金の有り無しで人を計るのはいけないと思うんだけどな。」 美奈子「いや、透君はお家がそうだから言えるんだよ。 そうじゃない私なんかは超引いちゃうんですけど…」 透「じゃあ勝手にそう思ってたら良いさ。 でも俺と美奈子ちゃんの友情は変わらないからな。」 美奈子「どうせ叶わぬ恋なんだから…せいぜい金持ちの生活とやらを拝ませてもらうわ。 こうなったら開き直りよ。」 透は美奈子の展開に苦笑した。 「ハッハッハッ。 お好きなように。 美奈子ちゃんって、やっぱり楽しいや。」 美奈子は透から褒められたのか、からかわれたのか分からなくなった。 美奈子「じゃあ、先ずはお宅拝見といきますか?」 透は笑いを堪えるのに必死だった。 邸宅の玄関は、美奈子の予想を裏切らない大理石張りの超豪華な造りになっていた。 廊下も遥か彼方まで続いている感じだった。 美奈子「これはもう迎賓館だね。」 透は美奈子の手を引いて歩き出した。 自分の部屋を見せたいみたいだ。 美奈子は大きな柱時計や彫像品の一つ一つに見入っていた。 「透君のお父さんとお母さんは、何の仕事をしているの?」 透「ああ、何でも世界を渡り歩いて地下資源採掘の元締めのような仕事なんだって。よく世界中の要人がうちに訪ねてくるよ。国連や主要国に口利きをして欲しいって。」 美奈子「ああ、やっぱり想定以上の金持ちなんだね。」 透「金は無い訳じゃ無いらしいけど、動かすのは各国の国家の予算らしいよ。うちに直接金を払う訳じゃないらしい。ほんの数パーセントの口利き料をもらうんだって。」 美奈子「私の予想からは、ほとんど現実離れしてて雲の上の生活ね。」 美奈子と透は、やっと透の部屋にたどり着いた。 そこは子供部屋とは言えない…大人の趣味の部屋みたいだった。 部屋の真ん中に本物のフェラーリが置いてある。 黄色のフェラーリだ。 美奈子は一目で その黄色のフェラーリが気に入ってしまった。 シートは革張りらしく丁寧な仕上げになっている。 透「動かす訳じゃ無いんだけど、まだ免許が無いから飾ってるだけなんだ。」 美奈子はフェラーリのシートに深く座ると…【私も将来こんなフェラーリに乗るわ!】 そう固く誓うのだった。
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