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「ではミス百合園。死灰の森を生息地とするブルームーンの特徴を答えてみなさい」
同期生が五十人近く在籍する教室内で、詩季は真っ白な髭面の教師ダニエルに杖で問題に答えるよう指し示された。詩季は動じることなくスッと席を立ち、頭に入っているブルームーンの特徴を述べた。
「学園より西に位置する死灰の森を縄張りにしているブルームーンは、氷狼科の魔獣であり、群で行動しています。獰猛で人間を寄せ付けず、魔法使いが使い魔に使役するのも難易度の高い魔獣です。因みに彼らがブルームーンと呼ばれる理由は、彼らの瞳が冬期に見られる蒼月のように青く澄んでいるからです」
言い終えた詩季が席に腰を下ろすと、周りからはヒソヒソと囁く声が聞こえた。歩くテキスト。暗記だけが得意な混合種。偽物の癖に生意気。そんなやっかみは、今日も相変わらず有無を言わせず耳に入ってくる。しかし詩季は教科書に載っていた文章を覚えただけだ。誰にでも出来るただそれだけの事を、同期生は不満に感じているのだ。
「ミス百合園の言うとおり、ブルームーンは下級レベルのあなた方には大変危険な魔獣です。死灰の森にはブルームーン以外にも危険な魔獣は多く潜んでいますので、くれぐれも近付かないよう注意して下さい」
講師ダニエルの注意喚起で魔法生物学科の授業は締めくくられた。
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