月末の夜

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金曜日。 放課後になり、帰ろうと下駄箱を覗くと一通の封筒が入っていた。 「…またか。」 ピンクの封筒に淡い青色のハトのシールで封をしている。 差出人は…わからない。 どうしようか、先生に伝えようか。この時間なら、まだ準備室にいるだろうか。 「どうかしたの?怖い顔して。」 「あ、先輩。」 先輩が話しかけてきた。いつからそこにいたんだろう。 「何というか、いたずらされてるみたいで。」 「いたずら?手に持っているソレのこと?」 「はい。前にも同じような封筒が入っていて、ちょっと気持ち悪い手紙が書いてあったので、今回もそうなのかなって。」 「ふーん。見た目はラブレターなのにね。…そうだ、先生に相談してみたら?きっと心配してくれるよ?」 「だから先生とは何でもないですよ。」 「隠さなくてもいいのに。先生まだ20代後半くらいでしょ?それくらいの年の差、世間じゃ普通の範囲だと思うわよ。」 「…ほんと、何でもないですよ。それじゃあ先輩、お先に失礼します。」 「さようなら。またお茶しましょうね。」 これ以上詮索されると、隠せる自信がない。私は逃げるように帰った。
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