月末の夜

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先生の家はウチから遠い。 通学で降りる駅よりも5駅先で降りた。ここは店よりも住宅街が多い。 普通の格好に、大きめのリュックを背負って、目深に帽子をかぶる。先生はあまり気にしていないようだけど、学校や近隣の人にバレたらどうするつもりなのだろうか。 少し古めのアパートの2階、端から二つ目の部屋が、先生の家。 「こんにちは、いらっしゃい。」 「こんにちは、先生。」 先生の普段着は、だらしない。学校では身なりをきっちりしているのに、家ではジャージとか、薄いTシャツに短パンとかで過ごしている。 そういう格好を見ると、うれしい。自分だけが知っている先生。 「親御さんには、何て説明したの?」 「友達の家に泊まるって言ってきた。」 「君にそんな親しい友達がいるとは驚きだ。」 「ひどいですね。まぁいないんですけど。」 先生は、相変わらずコーヒーを飲んでいた。今日は雑誌ではなく、パソコンを開いて、何か作業をしていたみたい。 「やらしい動画でも見てたんですか?」 「君と一緒にしないでおくれ。ちゃんと仕事してたんですよ。」 「女子高生がやらしい動画なんて見ないですよ。」 「見ないんですか?」 「…見ますけど。」 先生は笑って、私の頭を撫でた。
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