月末の夜

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先生は晩御飯を見て、げんなりしていた。「辛味は栄養素じゃない」とか、「好んで食べるひとの気が知れない」とか、文句を言いながらも完食してくれた。 「頑張りましたね。」 「…出されたものを残すのは失礼でしょう。」 「まじめだね。」 「まじめな人なら、君を連れ込んだりしませんよ。」 「それもそうですね。…あと片付けが終わったら、一緒にお風呂入ります?」 「うちの風呂は狭いですよ?」 「先生は奥さんと一緒に入ったりしないんですか?」 「学生の頃はたまに入ったりもしましたが、今はそういう関係じゃないですね。」 「そうなんだ。じゃあ一緒に入ろ?」 「…恥じらいはないのですか?」 「恥ずかしいけど、先生の特別になれるのがうれしい。」 「…そうですか。」 先生は、少し目を伏せた。何を思っているのだろう。私が幸せを感じているように、先生も幸せを感じているのかな。 手早く食器を片付けて、私は服を脱いだ。
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