一から百まで

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雨が、強くなった。 電車で移動して先生の新しい部屋の近くまでやってきた。 「この辺のはずなんだけど…。」 聞いていた住所通りに来てみたが、先生に見せてもらった外観のアパートが中々見つからない。もう一つ奥の通りなのだろうか。人通りもなく、少し怖くなった。 仕方なく一度大通りに戻ってから、地図アプリで確認しよう。 そう思い大通りに戻ろうとしたとき、後ろから誰かがぶつかってきた。 「あ、すみませ…」 道の真ん中で立っていた私が悪いと思い、振り向いて謝ろうと思った私の口に、湿った布が当てられた。 私はびっくりして声を上げようとしたが、意識がふわりと遠のいてしまった。 雨が、強くなっていた。
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