暗い檻の中

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監禁が始まって、一週間ぐらいが経った。 先生は、初めの二日間は私の側にいたようで、部屋の中で動き回ったり、私と会話したりしていた。数時間外出していることもあったが、帰ってこないことはなかった。 三日目からは、学校に出勤すると言って、朝から外出し、夕方もしくは夜になるまで戻ってこなかった。夜も更けてくると、先生は家に帰ると言って私は一人になる。 先生は、先生がもうこのまま戻ってこないのではと不安になるころにやってきて私に声をかけてくれる。 食事は、先生が手作りしてくれている。先生はこの部屋に来ると、まず最初にご飯を作ってくれる。何かを焼く音や、いい香りがしてくると、私は安堵する。ご飯を食べるときも、先生は拘束を外してくれない。だから先生が食べさせてくれている。状況がどうであれ、先生が食べさせてくれていると思うとそれはそれでいい気がした。…おかしいのかな? トイレは…恥ずかしいけど、介護用の紙おむつを履かされていて、そのままするように言われていた。 さすがに抵抗があって、何度か先生に懇願したが、そのたびに首を絞められた。抵抗すればするほど、先生の力は強くなって、一度意識が飛びかけた。 それからは、抵抗せずに従っている。 恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだけど、それでも一週間も続くと段々羞恥心は薄くなっている。 恥ずかしさよりも、用を足したあとの不快感から解放されたいという気持ちの方が勝っている。 先生が部屋から出ていく時、先生は私にヘッドホンを付けて出ていく。 ヘッドホンからは、音楽ではなく先生の声で小説?が朗読され続ける。ずっと、先生が帰って来るまでずっとその物語を聞いている。 ずっと先生の声を聴き続けている。 先生しかいない世界にいたい。 いつか私が思った状況になっている。 どうしてだろう、心は満たされない。 乾いていくばかり。
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