3人が本棚に入れています
本棚に追加
放課後、私は部活に行った。
先生はまだ来ていない。
先輩達は準備運動を始めていて、私も急いで着替えた。
大会前とあって、先輩達の気合いは高まっている。私はどうせ補欠だし、あまり気合いは入っていない。それを先輩は感じ取ったのか、いつもより当たりがキツかった。そんなの知らんし、そっちの都合を押し付けるなよ。
「ほーい、皆さん集合ですよー。」
先生が、いつもより遅れてやってきた。
「大会も近いですし、今日は試合形式で練習してみましょうか。…それじゃあチームはこれを見て分かれてくださいね。」
先生はチーム表を差し出す。念のため確認するが、私の名前はもちろん入っていない。今日も審判役だ。
先輩たちが、コートの中で一生懸命汗を流している間、私は先生の横顔を盗み見て過ごす。また遊びに連れていってくれないだろうか。
先生が私を見た。みんなには分からないくらいのわずかな微笑みを返してくれた。
今の私には、それでも十分だったかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!