放課後のカフェ

3/5
前へ
/50ページ
次へ
いつもより遅い電車に乗った。天気が悪く、いつもより家を出るのが遅くなった。 遅い時間になっても、やっぱり通勤時間で電車は混んでいた。 「あ。」 部活の先輩の1人がいた。 いつも電車で会うことはなかった。この時間帯の電車を利用してるのかなと思ったけど、逆に朝練でいつもは早い電車を利用していたのかもしれない。 めんどくさいけど、挨拶をした方がいいのだろうか。 「…おはようございます。」 「おはよう。電車で会うなんて、偶然ね。この前の大会はお疲れ様。」 「先輩もお疲れさまでした。…先輩はもう部活に顔出さないんですか?他の先輩たちはまだ来てますよ?」 「そうね…私は元々そこまで積極的ではなかったし、受験勉強もあるからね。」 この人は、他の先輩とは違っていた。先生目当てで媚び売っている人とは違う、物静かで何を考えてるか分からない人だった。 「そうですか。あ、でも送別会には来ますよね。他の先輩たちが盛大にやろうって張り切っていましたよ?」 「あら、そうなの?…私は特に連絡をもらってないわ。嫌われてるのかしらね。」 やってしまった。地雷を踏みぬいた。あまり他の先輩とは仲良くないとは思っていたけど、こんなあからさまに除け者にされていたなんて。 「あれー…先輩連絡し忘れてたんですかねー。おかしいなー。」 「…ふふふ。」 上ずった声で返事をした私を見て、先輩は笑った。笑うと、女性らしさが増して、きれいな人だった。 「おもしろいわね、あなた。あんまり部活じゃお話できなかったけど、仲良くなれそう。…そうだ、今日放課後にお茶でもしない?」 「え、私とですか?…でも部活もあるしなー。」 「あなた、そんなに熱心に部活参加してたかしら?」 口実を潰される。断るのも失礼だし…しかたない。 「では、先輩のおごりでお願いします!」 「ふふふっ。」 先輩は楽しそうに笑った。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加