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その日、帰りの昇降口で平原くんに呼び止められた。
「花火大会、アイツら二人で行くらしいけど、俺らはどうする?」
平原くんがそう聞いてくれた時、表情を取り繕うことも忘れて、その言葉にすがった。誰か一緒に行ってくれるなら浴衣を着られる。
「一緒に行く?」
好きだった水島くんに対しては言えなかったセリフは、何とも思っていない相手にならポンと飛び出してきた。
「…いいよ。」
平原くんの返事には若干の躊躇が含まれていたようにも思えた。平原くんなら、他に一緒に行きたい人がいくらでもいるだろうということもチラッと頭に過ぎった。だけど敢えて気付かない振りをした。平原くんの言葉は天の助けのようだった。
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