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陽菜乃は、私たちの姿を見て、一瞬怒ったように見えた。だけどすぐにいつもの勝ち気な顔に戻った。
「二人で来たんだね。私たちのせいで花火大会に来られなかったら、悪いことしちゃったかな、なんて話してたところだったんだけど、大丈夫だったみたいね。」
「え、あ、うん。」
それだけ言うと、陽菜乃は「行こう」と水島くんの腕に手を絡ませて人混みの中へと消えて行ってしまった。ほんの一瞬の出来事だった。
その日、確かに花火を見たはずなのに、花火の音よりも光よりも、強く記憶に残っているのは陽菜乃の声と人混みに消えていく二人の後ろ姿だった。
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