Geheimnis Ⅰ/Date…04/10/20**

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Geheimnis Ⅰ/Date…04/10/20**

浮世に対し無聊(ぶりょう)を感じる事が、気づけば僕の癖となっていた。 天の恵みか、はたまた単純に強運なだけだったのか、財閥と称される名家の次男坊として生を受けた僕は、微温湯(ぬるまゆ)に浸かった人生を送っていた。 勉学においても、運動においても、容姿においても、人より優れておりそれを早くより自負していた僕は、幼稚舎に入園する年齢の頃には既に身を取り囲む全てに対して退屈を覚えていた。 これは決して自惚れでもなければ、自慢でもない。 間違いなく事実であり、現実であった。 可愛げのない子供だと思われるだろう。まさにその通りなのだから言い返す言葉は見つからない。 そう。可愛げのないやけに達観した子供だったのだ。 帝王学やら行儀やらを厳しく躾されていた兄が、将来的には名家と謳われる財閥を背負って立つ事は生まれながらにして定められていたし、末の子供だからか幾分母親からも甘やかされて育った此の僕は、そのまま微温湯に浸かり程良く容易に設定された我が人生を謳歌する物だと確信していた。
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