空飛ぶ人魚症候群

3/14
前へ
/14ページ
次へ
高校生になった雪乃は、体が弱くなっていた。 前日まで元気に皆と過ごしていたのに、雨が降ると途端に欠席になる。 「お前、氷水(ひみず)の幼馴染みらしいな。課題のプリント、家に届けてやってくれ」 担任教師の代々木は、俺にプリントやノートの束を渡して言った。 「激しい雨の日は、水泳部は体育館で筋トレだろ。ま、お前は休部状態なんだから、行ってやってくれよ」 顧問の代々木は、俺に告げた。 学校から、雪乃の家までは自転車で十五分ほどだ。 俺は、雨も気にせず自転車をこぎ始めた。 生ぬるい雨で視界が悪い。 まるで、泳いでいるみたいだ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加