名もない気持ち

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「あぁ…始まっちゃった。」 時計を見ると、すでに次の講義は始まっていた。 今からダッシュすれば、大目に見てもらえるだろうがそんな気分にもなれない。 生まれて初めて講義をすっぽかしてしまったな。 案の定、スマホにものすごい通知が来た。 誰からなのかはすぐに見当がつく。 いつもつるんでる友人だ。 確か次の講義は同じなはずだから。 きっと心配してる。 自分が講義をすっぽかしてしまったから。 普段から講義はもちろん小さなボランティアにも必ず参加してた。一度も休まず。 それが急に来なくなったとなると、心配するだろう。 『あんたほどクソ真面目な人間知らない。』 これが口癖なくらい。 自分では当たり前だと思っているのだが、彼女からしたら異常らしい。 すぐにスマホを覗いて、急いで返信した。 既読がすぐにつく。 アイツは講義の中、何やってんだ。 いや、返信してる自分も邪魔してるのか。 そう思い、鳴り続ける通知を無視してポケットにスマホを押し込んだ。
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