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「興味ない?」
みちるは、間違いなく、誰かにいいたくて仕方がないのだろう。しかし、先生からは何かの理由でみんなに教えるなといわれているようだ。だめだといわれると、どうしても、話をしたくなるのが人情というもので、そこであまりそういう噂を振りまくことのない人美を選んだというところだろう。
「うん、まあね」
昔から人美は、そういうことがなんとなくわかってしまうのだ。カンがいいというか、なんというか、とにかく、そうなのだ。
それをいえば、おばあさんもお母さんも、カンがいい。お父さんたちが、夜に”外で遊んできた”とき、それを見破るのは、お手の物だったのであった。ケンカになったところは視たことがないが、完全に、お父さんたちは、お母さんたちの前に、借りてきた猫のようにシュンとしているのだった。
聞けば、このウイングシティにある息吹戸神社・・人美が稚児行列に参加したこともある神社がここなのだ・・の巫女さんをやった家系だということだった。今は、その昔と違って神社がかなり小さくなってしまったので、お母さんたちが働くことはなくなったのだったそうだ。
江戸時代には、江戸の町からここまでおまいりに来るのが、ちょっとした気晴らし旅行として、流行していて、本当にこのあたりでは指折りの大きな神社だったのだという。
ここは、湘南市という、東京湾沿いの千葉県にある町だ。湘南というと、あの江ノ島のあたりのことを指すと考える人ばかりなので、いまではあだ名の”ウイングシティ”というほうが、有名になっているのだけど。
油壺から、東京湾の海底を貫いて千葉県側に出てくる、あの東京湾アクアラインの出口に湘南市はあった。もともとは、ただの寂れた漁師町だったという。
でも、そのおかげでアクアラインの工事の出口に選ばれ、今では、千葉県の大事な中枢都市として発展をしてきているんだ。
ウイングシティというのは、ちょうどこのアクアラインの出口から、ちょうど左右対称に”天使の翼”のように沿岸都市が計画されたので、格好よくカタカナの”ウイングシティ”の名前で呼ばれるようになったんだね。
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