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最終章:人とは
翌日。一優は前髪で第三の目を隠して学校へ登校した。
しかし、下駄箱で上履きに履き替えているときに他の生徒が声を上げた。
「おい、アイツか? 大瀬が言ってた奴は」
一優が顔を向けてみると、歩が所属している部活の生徒が指を指していた。
一優は泣き出しそうになりながらも教室へ向かった。だが、教室に入った途端、クラス中の生徒がざわつきだした。
一優は平常心を保つように言い聞かせながら自分の席へ向かう。だが、四方の席が明らかに距離を空けられていた。
一優は耐えきれず、教室から、学校から抜け出し自宅へ帰った。
両親は共働きで、家には誰もいなかった。一優は自分の部屋で涙を流していると家の電話が鳴り響く。
番号を確認すると学校からであったため一優は居留守を使うことにする。だが、間もなく携帯に母から着信が入った。
その内容は「三つ目が無くなるまで外に出るな」であった。
一優はただ布団に入って泣きじゃくる。
「何か悪さをしたわけじゃないのに……。他人と違いがあるだけでこんな……受け入れてくれる人なんていないんだ」
言葉は薄暗い部屋にただ溶けた。
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