一章:これはいったい

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一章:これはいったい

「……何だ、これ」  16歳の高校生[下司一優(したしかずま)]は前髪をかき上げ、額を確認していた。その額にはくっきりと第三の目が開かれていた。 「何でこんなのが……? 昨日までは無かったのに」  事の発端は今朝、額に痒みがあったこと。学校での生活でもやたらに痒みを感じ、帰宅してから鏡を確認すると第三の目が開かれていたのである。  目に触れると痛みを感じ、痛覚はあるようであった。しかし、自らの力では閉じる事はできなかった。  手で瞼を閉じても、離すとすぐに目は開かれる。そこで一優は両目を閉じてみる。だが、第三の目から何かを視認できるわけではなかった。  一優は携帯で「三つ目 病気」で検索してみるが、出てくるのは白内障といった目の病気や三つ目の妖怪、アニメや漫画での情報ばかり。  「額 目」で検索しても該当するような記事は見つからなかった。 「何かの病気とかじゃないのか……。お母さんに話すにしても、こんなの見たら怖がられるだけだもんな」  そこで一優はニット帽をかぶり、額の目を隠そうとする。しかし、目を覆うと頭痛に値するほどの痛みが走った。 「痛い……。ダメだ、こんな痛みが続くならかぶっていられない」  一優は洗面台に行くと整髪料を手に取る。元々前髪は目にかかるほど長く、今日の学校生活でも誰かから指摘をされたりはしなかった。  数分でセットは終わり、髪をかき上げなければ第三の目は見えなくなった。 「明日の昼休みに図書室で探してみよう……。古い本とかになら何か載ってるかもしれない」  一優は再度髪をかき上げて第三の目を鏡で確認する。その目は真っ直ぐ前を見据えていた。
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