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二章:能力って……?
翌日、一優は図書室で三つ目に関する本を手当たり次第に読みあさっていた。
しかし、多くは狸が人間として化ける妖怪といったものが中心で、一番近しいものは三つ目の少年が主人公の漫画だけ。突然目が額に現れることが載っている本は無かった。
「無いか……。なら今度の休みに図書館に行ってみよう。探すのは面倒だけど、図書館ならあるかもしれない」
一優は読んだ本を全て本棚に戻していると「お? 下司が図書室にいるとか珍しいな」と声をかけられた。
一優が目を向けると[大瀬歩]と[中原友也]が立っていた。
「なにその言い方? 俺だって本は読むよ」
「読むって言っても、下司君はラノベばっかだろ? 国語の時間なんかいつも大あくびしてるし」
友也の言葉に一優は「たまには他のを読みたくなるんだよ」と適当に言葉を並べる。
歩と友也は小学校からの仲であり、休日には三人で遊びに行くことも珍しくはないほどの仲である。一優はそのまま本を戻すと、歩が戻した本を覗き込んできた。
「日本の妖怪? お前こんなの好きだっけ?」
「あー、いやどんなのがあるのか気になってさ」
「スマホでいくらでも調べれる時代にわざわざ探すのか。まあ、ネットが全て正しいとは限らないけど、そんなに気になる妖怪がいるの?」
「三つ目の妖怪がどんなものか気になったからさ。まあ、ほとんどネットに載ってることと同じだったけどね。狸が人間に化ける~とか」
「漫画とか神話なら何かしら能力を持ってるけどな」
一優は「能力?」と思わず聞き返してしまう。歩は「さすがに驚かせるだけじゃ地味だろ?」と言った。
「代表的なのが超能力を持ってる中学生の話だ。他にも人の心が読める能力とか。神話ならシヴァって言って、ヒンドゥー教の神様とかな」
一優は素直に驚く。もしかしたら第三の目には何かしらの能力があるのかもしれない。
そして、二人なら何か知っているのかもしれないと思う。
だが、今明かすと驚く声で周りに気付かれてしまう。そこで一優は「二人とも今週の土日空いてる?」と聞いた。
「土日? 土曜は部活があるから無理だ。日曜は暇だけどよ」
「僕は両方空いてる。どこか行くの?」
「三つ目の事をもっと知りたいから、図書館でも行こうかと思ってね。図書室より本は多いからもっと知れると思うんだ」
歩は「別にいいけど」と了承するも、意見した。
「どうせならモールも行こうぜ。近くの図書館って隣町だし、探すのもそんなに時間はかからねぇだろ」
一優は「分かった」と受け入れた。
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