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三章:調べても
日曜日、三人は自転車で隣町の図書館に来ていた。しかし、着くなり歩が一優に疑問をぶつける。
「下司、何でそんなに帽子を浅くかぶってんだ?」
一優は「ファッションってやつだよ」と流すが、実際は自転車に乗っているときに風で三つ目が露わにならないようにするものであった。
歩と友也が図書館に足を向けたタイミングで一優は素早く帽子を脱ぐ。
簡単に前髪を整えて一優も後に続くと、背後から複数の大きな笑い声が聞こえてきた。
三人が振り向いてみると、同世代であろう集団が歩いていた。
「うーわ、隣町の高校の連中だ。近所迷惑もいいところだっつの」
「声デカいって。変に絡まれたら面倒だからさっさと入ろう」
三人は逃げるように図書館へ入る。
職員に妖怪や奇怪な内容が記されている本が置いてあるか尋ね、三人は手分けして有力な情報がありそうな本を探す。
しかし、どれも信憑性が今一つ、あるいはそういった設定として書かれているだけであった。
一時間ほど探すも、一優が納得を示さないため歩と友也が先に音を上げた。
「下司、どんな内容の本を探してるんだよ? これだけ探して無いってことは多分無いぞ?」
「えっと……。そう、突然三つ目になってしまったような話」
「そんな本無いと思うよ? 三つ目で人の形なら先天的なものだろうし、創作だとしても最初から額に目があるとかが一般的だから」
一優は頭を掻く。すると歩が「本屋でも行くか」と提案した。
「ちょうど欲しい本があるから寄ろうと思ってたんだ。下司、そこで見つからなかったら諦めるしかねぇよ」
一優は少し考えるも受け入れることにした。
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