四章:見えたのは

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四章:見えたのは

 三人はショッピングモールへ行き、真っ直ぐ本屋へ向かう。そこで一優はくまなく何か情報になるものはないか探し回ったが、結局見つからなかった。 「何でそこまで三つ目にこだわるんだ? 妖怪とかの類いなら他にたくさんいるだろ?」  会計を済ませた歩が疑問をぶつけてきた。友也も「確かに」と頷く。対する一優はお茶を濁すように「気になってるだけだよ」と返した。 「マイブームってやつ。いろんな設定があって面白いからね。元はただ狸が化けたとかなのに、能力があるって付け足すと深みが出るから」 「だからってなぁ。わざわざ俺たちにもあれだけ探させておいて、結局収穫がないってなるとさすがにイラッとくるぜ?」 「そうだね。結局下司君は何も買ってないし。別に用はなかったけど、探したこっちの身にもなってよ」  苛立ちを表す二人に一優はすぐに謝る。歩は分かりやすくため息を吐いて歩き出す。 「まだ昼過ぎだからぶらつこうぜ。下司、悪いって思ってんならなんか奢れよな」  一優は分かったと言おうとした時に額が疼いた。  咄嗟に「大瀬、危ない!」と口にする。  歩が「あ?」と振り向いた、その瞬間に業務員用のドアが勢いよく開き店員が出てきたのである。店員は焦った様子で「申し訳ない!」とだけ言うと駆け出す。 「あっぶね……。人がいることぐらい声で分かったろ!」  歩の言葉にも店員は振り返らず走り去っていった。歩が舌打ちをする中、友也が一優に問いかける。 「下司君、何で人が出てくるって分かったの?」 「……何でだろ」  一優は額を手で押さえながら口にした。
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