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その拍子に前髪が乱れ、集団は一様に声を上げた。
「デコに目があったぞ!?」
「リーダー、そいつヤバい奴かもしれない!」
リーダーの人物も後ずさりをして一優を見据える。咄嗟に一優は第三の目を手で隠すが、それが第三の目があることの証明になってしまった。
「この、バケモノが!」
捨て台詞を残すと集団は去って行く。
対する一優は額の痛みに呻き、しゃがみ込んだ。すぐに歩と友也が駆け寄ってきたが、二人とも顔を、額を覗き込んでくる。
「下司、そのデコの目は何だ?」
「もしかして、やたらに三つ目を調べてたのって、その目のことを調べようとしてたの?」
二人の問いかけに一優は何も返さず、ただ下を見続ける。
痛みは完全に消えさっていたが、歩と友也から拒絶されることを恐れていた。すると歩が「答えろよ」と言及してくる。
「正直に言えば俺たちだって力になれるかもしれないだろ。大丈夫だ、誰にも言わねぇから」
一優はゆっくりと押さえている手をどかす。目はくっきりと見開かれており、友也は小さく怯えた声を出す。
それでも一優は「隠してごめん」と謝った。
「つい数日前にこの目ができてたんだ。携帯で色々探したんだけど、分からなかった。だから三つ目のことが書かれてる本を探してたんだ」
歩は「……そうか」とだけ言うと立ち上がった。
「そのうち無くなるだろ。それまで隠しとけ。下手に病院とか行ってもバケモノ扱いされるだけだろうから」
一優は頷き、前髪を軽く整えて第三の目を隠した。
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