五章:どうして

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 その拍子に前髪が乱れ、集団は一様に声を上げた。 「デコに目があったぞ!?」 「リーダー、そいつヤバい奴かもしれない!」  リーダーの人物も後ずさりをして一優を見据える。咄嗟に一優は第三の目を手で隠すが、それが第三の目があることの証明になってしまった。 「この、バケモノが!」  捨て台詞を残すと集団は去って行く。  対する一優は額の痛みに呻き、しゃがみ込んだ。すぐに歩と友也が駆け寄ってきたが、二人とも顔を、額を覗き込んでくる。 「下司、そのデコの目は何だ?」 「もしかして、やたらに三つ目を調べてたのって、その目のことを調べようとしてたの?」  二人の問いかけに一優は何も返さず、ただ下を見続ける。  痛みは完全に消えさっていたが、歩と友也から拒絶されることを恐れていた。すると歩が「答えろよ」と言及してくる。 「正直に言えば俺たちだって力になれるかもしれないだろ。大丈夫だ、誰にも言わねぇから」  一優はゆっくりと押さえている手をどかす。目はくっきりと見開かれており、友也は小さく怯えた声を出す。  それでも一優は「隠してごめん」と謝った。 「つい数日前にこの目ができてたんだ。携帯で色々探したんだけど、分からなかった。だから三つ目のことが書かれてる本を探してたんだ」  歩は「……そうか」とだけ言うと立ち上がった。 「そのうち無くなるだろ。それまで隠しとけ。下手に病院とか行ってもバケモノ扱いされるだけだろうから」  一優は頷き、前髪を軽く整えて第三の目を隠した。
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