彼女の視線

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彼女の視線

 最近、気になっている彼女がいる。  彼女の瞳には、誰が映っているのだろう?  彼女の視線が、どこを向いているのか、誰に向いているのか、気になってしまう……。  今日は授業中、僕の勘違いでなければ、やたらと、僕を見ているような、彼女からの視線を感じている。  つい今も、ついさっきも、僕が彼女の方を向くと、一瞬目が合って、彼女は、サッと、目を()らす。  その表情は、恥ずかしそうな、照れてるような……。  でも、それは、単なる僕の希望的観測であるかも知れない。  なぜなら、僕から目を逸らした後、うつ向きがちに横目で、こちらに注ぎ続ける視線に、何となく、ひんやりとしたものを感じてしまうからだ。  僕への好意の表れ? 「なぜ、私の思いに気づいてくれないの?」っていう、苛立(いらだ)ち。その真意はどこにあるのだろう? ー ♪キ~ン、コ~ン、カ~ン、コ~~~ン、キ~ン、コ~ン、カ~ン、コ~~~ン……♪ ー  先生に一礼をした直後、席で立っている僕のところへ、彼女が、ひんやりと冷たい視線のまま近づいて来た。 「わざと開けてるの?」 「えっ?」 「ズボンのチャック!」 「えっ?!」 「シャツが、象の鼻みたいに、ピロ~~~ン! って、出てんだけどッ!」 「あッ!」  彼女の視線は、僕への好意の眼差しではなく、僕の股間への軽蔑の眼差しだったらしい……。
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