0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
彼女の視線
最近、気になっている彼女がいる。
彼女の瞳には、誰が映っているのだろう?
彼女の視線が、どこを向いているのか、誰に向いているのか、気になってしまう……。
今日は授業中、僕の勘違いでなければ、やたらと、僕を見ているような、彼女からの視線を感じている。
つい今も、ついさっきも、僕が彼女の方を向くと、一瞬目が合って、彼女は、サッと、目を逸らす。
その表情は、恥ずかしそうな、照れてるような……。
でも、それは、単なる僕の希望的観測であるかも知れない。
なぜなら、僕から目を逸らした後、うつ向きがちに横目で、こちらに注ぎ続ける視線に、何となく、ひんやりとしたものを感じてしまうからだ。
僕への好意の表れ? 「なぜ、私の思いに気づいてくれないの?」っていう、苛立ち。その真意はどこにあるのだろう?
ー ♪キ~ン、コ~ン、カ~ン、コ~~~ン、キ~ン、コ~ン、カ~ン、コ~~~ン……♪ ー
先生に一礼をした直後、席で立っている僕のところへ、彼女が、ひんやりと冷たい視線のまま近づいて来た。
「わざと開けてるの?」
「えっ?」
「ズボンのチャック!」
「えっ?!」
「シャツが、象の鼻みたいに、ピロ~~~ン! って、出てんだけどッ!」
「あッ!」
彼女の視線は、僕への好意の眼差しではなく、僕の股間への軽蔑の眼差しだったらしい……。
最初のコメントを投稿しよう!