ひんやりさせてくれるぜ

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俺は、織田の身体を恐る恐る撫で回した。 運転席でステアリングを握りしめている織田の表情に変化が現れた。気のせいか、頬が赤く上気しているようにも見える。 大丈夫だ、織田。俺が親分の目を上手く誤魔化してやる。少しの間、我慢していろ。 「中川、拳銃はあったか」 「今、探っております」 実は、拳銃はとっくに見つけている。拳銃は、織田の懐にあった。だが俺は、素知らぬふりで、織田の太ももの辺りを撫で回している。 「中川、拳銃はあったのか」 「はあ。今しばらく」 俺の手のひらが、織田の肩の辺りを撫で回している。 「中川。まだなのかい」 「暫し、お待ちを」 だんだん、織田の呼吸が荒くなってきた。 俺の手のひらが、織田の脇腹の辺りを探るふりをしている。 織田が、奇声を上げた。 「ああ、そこいい!」 俺の中で、時間が止まった。 それはほんの一瞬なのだが、俺はすべてを悟っていた。 織田は、そっちの気がある男だったのだ。 織田はあのとき、俺を助けるために身体検査に時間をかけていたのではなかったのだ。
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