ひんやりさせてくれるぜ

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俺は、拳銃を握った手を織田に向けた。 織田は拳銃を捨てて、両手を頭に乗せた。 「俺を殺るのか、中川」 織田は、無表情だ。織田の目の光からは、その腹の内がどうしても読めない。 「織田。おまえは一体、どういうつもりなんだ」 「高野はずっと前からおまえを裏切り者呼ばわりして、おまえを消したがっていた。だが、俺はそれに納得していなかった」 「俺に生き残るチャンスを与えるために、わざと身体検査に時間をかけて、おまけに拳銃も取り上げなかった。つまり、そういうわけなのか」 「そうだ」 「あんまり身体検査に時間をかけるから、てっきりおまえにそういう趣味があるのかと思ってしまった。危なく俺は、おまえを疑ってしまうとこだったぞ」 「よせやい、中川」 「とにかく、おまえのおかげで命拾いした。礼を言う。ありがとう」 「良いってことよ。それより、こんなとこに長居は無用だ。さっさと高野の死骸を海に沈めて帰ろうぜ」 俺達は、高野の亡骸にコンクリートの重りを縛りつけた。そうしてから南無阿弥陀仏と三回唱え、弔いの儀式を二人だけでとっとと終えたのだった。
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