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あおねこの髪
「碧斗の髪って、地毛なの?」
昼休み、教室で俺たちはBL漫画について語り合っていたら突然、ひまりがあおねこに問いかけた。
「ああ、俺の髪?地毛やないよ。地毛なわけないっしょや!」
「染めたの、、、?ですか?」
「そだよー。あおねこは中学卒業して直ぐに髪染めたよー」
俺が代わりに答えた。こいつにあまり、髪のことを思い出して欲しくないからな。
「んな事よりアイス食いに行かね?ハーゲンダ〇ツ新しい味出てるんだってさ!」
「おーいいね!!いこいこ!!」
「え?しこし、、、」
「ゆっきー?だまれ笑」
「すまんすまん笑」
廊下を歩きながら思った。あいつが髪を染めるきっかけになってしまったのは、親だ。
しかもあいつはよく覚えていない。
小さい頃、あおねこの髪は赤毛だった。しかも、父親似の顔立ちだったという。
俺も知ってることはそう多くないが、父親が早くに亡くなり、母親があおねこを死んだ父に見立てさせようとしたらしい。
本人はそれが嫌で堪らず、中学卒業と同時に髪を染めた。父によく似たその髪色をガラリと変えた。
本人はそれから凄い活き活きしている。
この生活を、崩してはならない。
親友にはもう、辛い思いをして欲しくない。
その思っている。
「結城ー?どしたんー?」
あおねこに呼ばれた。
「ホイホイ今行くー」
俺は走り出した。
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