第14話 未来に

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第14話 未来に

 あれから幾度か秋が過ぎ、次の春にはボクは中学校の制服を脱ぎ、高校へ行くことになる。  かつてリトルは『いまのこの瞬間も一秒後には過去になる。そして過去は無数に積み重なって歴史になる。そして、それは未来へつながるんだ』と話してくれたことがあった。  あの時はまったくわからなかったけど、いまなら少しわかる気がする。歴史とは、きっと記憶だ。そして記憶は生き物が生きていく中で受けつがれていくものだ。一番の友だちと過ごした、あの短い期間。ボクらは一瞬一瞬(いっしゅんいっしゅん)を生きて、2人で歴史を作ったんだ。  そして次は未来の番。                *  ボクは今でも河の土手道を通ることがある。  気がつけば、今でも頭の中のリトルに話しかけているボクがいる。  もちろんリトルからの返事はない。でも諦めたわけじゃない。それどころかボクは将来、生物学の学者になろうと思っている。そして必ず方法を見つけるんだ。頭の中に目覚まし時計を作る方法を。  どうしてだって?  だって、今度こそボクの方が先に寝坊(ねぼう)の友だちに、こう言ってやりたいからさ。 「おはよう、リトル!」って。                了
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