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足音
ザッ‥ザッ‥。
トンネルの中は音がひびいて、いつもより大きく聞こえる。
これは‥足音?
だんだん大きくなってくる。
「あれは‥たかし君だ‥」
なんだか、ひさしぶりに見た気がする‥。
「たかし君!」
「‥ん?」
目の前で、たかし君は止まった。
なにかをさがすように、きょろきょろしている。
「ここだよ!ここ!」
たかし君から見て右のほうに、ぼくがいる。
でも、ぼくと目を合わさない。
「何か聞こえたような気がしたけど‥風か?」
すぐそばにいるのに、どうして気づかないの?
いじわるしてるの?
「ここ通るの、いやなんだよな‥」
ぼくに気づかないまま、出口に向かって行ってしまった。
ひどいなぁ‥たかし君。
次にまた‥声かけてみようっと。
だれも通らないと、しずかだ。
ここは暗いし‥ごみ箱の中に入ってたことを思い出す。
‥いやな思い出。
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