クール・ビューティと熱血漢

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オンライン小説投稿サイト用音声投稿サービス、VoiceNovel だ。音声認識を使い、口頭で話すとその内容がそのまま投稿できる。手を使わなくても文章が入力できるため、一部の身体障がい者や入力が苦手な人たちにはとても有益だ。 このサービスは非常に好評で法人化の運びとなったのだが、わたしは会社経営には全く興味がなかったので、技術顧問という形でかかわることにして、経営自体は高校、大学と一緒だった友人に任せ、大学卒業後は都内の開発系企業に就職した。 しかし。 わたしは、その企業をわずか1年で辞めざるを得なくなった。わたしが新卒で配属された部署は、全くもって男社会だった。そして……わたしはそこで、いわゆる「勘違い男」という奴にロックオンされてしまったのだ。 その男は部署の先輩にあたるプログラマーで、「ニック」という名前からしてもいかにも外国人と言った容貌だったが、日本の大学を出ているので日本語は流暢だった。わたしが一度だけ彼に微笑みかけた、というだけで、彼は私が彼に好意を持っている、と思い込んだのだ。そして執拗にデートに誘ってきた。 わたしがはっきり拒絶しても、ニックは全く動じなかった。そしてとうとうわたしの住んでいるアパートにまで現れるようになった。こうなるともう完璧にストーカーだ。
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