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プロローグ
よく言いますよね。
何か重大な決断をする時とかに、天使と悪魔が囁きかけるって。
だけど別に、私は重大な決断などする予定はない。
なのにどういうことでしょう。
目の前には色が異なった羽根を持つ《ナニカ》が二人。
……いや二匹?
「天国、いいところだよ……だから早く行こうよ……」
ええと、白い羽根サン、つまりそれは死ねと?
「クソ天使が、ふざけんな!コイツは俺様のモンなんだよ」
……黒い羽根サン、偉そうですけど顔が真っ赤ですよ。
「…………」
はい、わたくし、今とっても不可解な光景を目の当たりにしています。
まず何から突っ込んでいいのやら。
なんかいきなりぶっ飛んだこと言ってるお二人ですけど、これまるっきり初対面ですはい。
疲れたので早めに寝ようとベッドに横になったら、いきなり聞こえた声。
あまりにも自然に耳に馴染むから『あれ、もう夢の中なのかな……』とか思って目を開けると、羽根の生えた人型のナニカがいるではありませんか。
あ、やっぱり夢だと思ってもう一度目を瞑ろうと―――
「あの、何やってるんですか」
「ん?だから、一緒に天国行こう?」
僅かに感じた違和感に吃驚して目を開けると、白い羽根の生えたナニカが私を抱きかかえようとしていた。
え、怖。なんなのこの人。
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